順調、順調

♪♪ちなこ〜、ちなこ〜、ふし〜ぎにゃん、ちなこ〜♪♪(魔法使いサリーの替え歌で)
また変な唄をうたいながら、白髪頭の人間が私をなでにくる。この人間が来るとすぐわかる、どすどすばたばた大きな音をたてながら近づいてくるから。あたしはちなこじゃない、前のことをどんどん忘れていってるけど、ちなこなんて変な名前じゃなかったので返事をしてやんない。



あたしが一番好きなのは、もんちーちゃん。あんまりここがわかんないときから、なめなめしてくれたり、寒いときは寄り添って寝てくれたり。


鬼ごっごやかくれんぼという遊びを教えてくれたのももんちーちゃん、とっても楽しいのよ〜。プロレスも馴れると楽しいわね。最初は馬乗りになってカプカプ噛みつかれて、ひどいと思ってたけど、パンチやキックで応戦できるようになってから俄然面白くなったわ。私の方が手足が長いから、ふふそのうちもんちーちゃんより強くなれるかもね。もんちーちゃんは遊びの天才。一緒にいて飽きないの。




もんちーちゃん大好きだけど、まねできないこともあるわ。このあいだパン食べる?って私の前においてもらったのに、横からもんちーちゃんがぱしっと手で押さえてあっという間に食べちゃったのよ。それ私のなのに。言葉がでなかったわ、なんて食い意地がはってるの?意地汚ないわ、がさつだわ、信じられないわ。

最初に私をひっかいた怖いおばさん、しばらく姿を見ないと思ってたら、この頃よく現れては私の顔を見て、牙を見せてシャーとすごむの、なんなのかしら、失礼しちゃうわ。少し距離を置いてじっとしてるだけなのに・・・・。

黒と白のごまとよばれているお姉さんとは、挨拶ができるようになったの。でもこのお姉さんとってもシャイで、夜帰ってきてごはん食べて自分のベットで寝て、朝になるとそこから出てきてご飯食べてすっとどこかに行っちゃうの。もっと仲良くなりたいのにな。

黒いとっても身体の大きなおにいちゃんもいる。もんちーちゃんのお気に入りみたいだけど、私のことはじっと遠くからみるだけ。照れてるのかしら?この前思い切って近づいたらふんふんと匂いを嗅いでぱっと逃げちゃった・・・。



えっしあわせそうって。そうね、ここの生活も悪くないわね、というか目がよく見えなくて、寒くて、もうそんなのはいやだわね。夜寝るときはもんちーちゃんと一緒に、このうちで一番むにゅむにゅお肉がついてあったかい人間の布団の中に入って、寝るのよ〜、これがほんとに極楽極楽。横でもんちーちゃんはちゅうちゅう人間のお肉を吸うの、ふっ、まだまだ子どもね。がさつでレディにはほど遠いし。だからこの私がついててあげないとだめなのよ。