幸福の分配

日食で有名になった悪石島だが、以前より名前だけは知っていた。竹川大介さんという北九州大の人類学の先生のブログでの興味深い記事、
『悪石島で考えた無視しない関係性』
http://www.apa-apa.net/kok/news/kok267.htm
島の小学生との交流の感想を書いたレポートだ。
個性的な島の子供、交渉と譲渡にたけ、衝突をしながらも相手と共存を図っていくコミュニケーション力の高さを確か北九州の小学生と比較されていたと思う。都会の学校では授業に支障のある発言や行動は静かに無視され、社交辞令ばかりがマニュアル化され濃厚な関係のスキルを磨く機会を奪われていると。
そんな悪石島に降ってわいたような日食ツアー。宿無し、水なし、そして下水処理なし、島の人たちはどうやってこのプロジェクトを乗り切るんだろうとニュースになるたび気になっていた。

ブログをのぞいたのは竹川先生の講演を聞く機会があったからだが、印象深い言葉が記憶に残った。どこかの南の島での話だったと思う。
『幸福の分配』
煙草を誰かからもらうと、それを島民で次から次へと分けていく話。細部は覚えてないが、『豊かさ』ではなく『幸福』の分配、あるいは『祝福された交換』と表現されていたことだ。

さて悪石島、あいにくの悪天候だったが、島民の老いも若きもボランティアの人も一生懸命ツアー客をもてなししていたのが画面から伝わってきた。天体ショーの後もうんちの処理、ゴミの処理など汗だくでされたようだ。そして何日かたって小さなニュース。
防府市の被災現場にツアー客のために本土から運んできた水があまったから寄付したいという。雨の少ないときには断水もある島の生活。
ああ『幸福の分配』だと改めて感動。縁もゆかりもない悪石島の人たちだが、エールを送りたい。

そして思わぬ所から私にも『幸福の分配』が・・・私も誰かにリレーしていこう!