水たまり

『わたし』のどこかに小さな深い水たまりがある。



風が吹けば水面にさざなみがたち、嵐が来れば大揺れに揺れ、澄んでるときもあれば、澱のようなものが浮かんでるときもあるし、暗く濁ってぴくりとも動かないことだってある。ときおりどこからか日差しが差し込んできてきらきら光ったり、雨で水面が騒がしくなったり、緩やかな静かな時間が流れてることも多いけど、底になにやらいろんなものがたくさんたくさん沈んでいて、のぞき込むことすらためらうような、おなかの底がぎゅっとわしづかみされるような、苦い痛みをももっている水たまり・・・。



いろんなものが溶け込んで、この水は甘いのだろうか、酸っぱいのか、それとも苦いのかな?



願わくば、『わたし』がほどけてつぶつぶの粒子になったとき、おひさまの光に召されてたくさんの水蒸気と一緒に雲になり、葉を伝う雨粒のひとしずくとなり、土に染みこみ、川となって海へ流れ込み、大気を満たす循環の内にあって、命をはぐくむものの一部になるといいな。



苦いもの、毒も飲み込んで滋味あふれる有機物に変換できるような強さがあるといいね、私の水たまり。できるかな、やってきたよね、うんとこさ時間をかけてちょびっとだけどさ。未分解のものがいっぱいあるけどこれからも・・・。