小さな港町

週末、戦国時代ファンの甥っ子を連れて佐賀は呼子名護屋城跡へ。日本百名城というのがあって、スタンプを集めているという。
戦国時代の城だけじゃなく、大野城とか吉野ヶ里とかもはいっているのだそう。戦国時代とか戦国武将とかまったく興味ないが、呼子と言えばイカ、食い意地だけでお供することに。



名護屋城豊臣秀吉朝鮮出兵するときに建てた城というくらいの認識しかなかったのだが、どうしてどうして城下町をそっくり移す勢いで建てられたすさまじい広さの城跡だった。大阪城に次ぐ大きさだったらしい。
城下には各武将の陣屋が軒を連ね、能の稽古場や豪華な茶室も別立ててあったそうで、古今東西、途方もない権力を握った人間は、ちーっとおかしくなるみたい。朝鮮出兵は残酷きわまりない傷跡を朝鮮に残し、豊臣体制も疲弊し後の存亡を招いた。

つわものどもの夢の跡、いや狂った権力者の狂気のあとか・・・ぼんぼりみたいな桜の花が美しかった。



城跡から下って、呼子港へ。イカを食べさせてくれる老舗の料亭は一時間待ちだったので、呼子の港をぶらぶら。十数年前父の還暦のお祝いにここからフェリーに乗って壱岐へ渡ったことがありそれ以来だ。



岸壁には、イカの一夜干しや干物を売っている小さな屋台が軒を連ね、潮の匂いがぷ〜んとする。豊かな海の幸で暮らす小さな港町。どらえもんがついたくりくりイカ一夜干し機が傑作。これってどうやって動かしているのだろう。



東北の津波を受けた海岸線に点在する港町でも、こういう日常があの日の前まで確かにあったのだと思う。なんだか涙がでそうになった。
岸壁に連なる細い路地に広がる家々を見ると、徳島の父母のふるさとの港町に似ていて懐かしい。


たぶん私のDNAに刻まれた風景なのかもしれない。



一時間待ちでいただけたお目当てのイカの刺身、天ぷらをたらふく食べ、イカの一夜干し、みりん干し、あおさ、めざしなどの海の恵み、たけのこやあおあおとしたねぎなど山の恵みをおみやげに呼子をあとにした。
呼子のすぐそばには、福岡都市圏の電力の大半をまかなっている玄海原子力発電所がある。福島だけでなく日本全国こういう場所がたくさんあるんだ。なんだか考えさせられた一日だった。