春を告げる馬踊り

なんでだかわからないが、このお祭りが大好きだ。鹿児島神宮初午祭。結婚式でへろへろだったが、早起きしてまだくらいうちに南下する。
春の訪れを告げる、人と馬とが一緒に踊りながら神宮に踊りを奉納する、素朴な祭り。
鈴の音は魔を払い、馬が地面をふみしめることで、土の神を起こし、土の神は田の神を呼ぶという。




チャチャンカチャン、チャチャンカチャン・・・鹿児島に向かう車の中でずっと頭の中で鳴り響いていたお囃子の音。この2拍子は、心が浮き立つ。心臓の鼓動、足を運ぶリズム、命の躍動を表現するリズムだと思う。



今年は24頭の奉納。一番神馬は木田集落と決まっている。今年のありさ姫、上手な足裁きで、見事な踊りを披露してくれた。
木田集落の歴史は古い。山幸彦から種籾をいただき稲作が始まったという。種子田さんという名前も残っているように、山幸彦を祀る鹿児島神宮の御神田を育てるのもここの集落だ。中世以降、薩摩藩の馬を育ててきた長い歴史がある。だがもう馬を育てている家は一軒のみ。農業の機械化につれて、馬を飼う家は激減した。この手綱を握る若い兄ちゃんは、貴重な祭りの後継者だ。





お囃子隊の中にも若い兄ちゃんが一人。長のじっちゃんは幾つくらいだろう?若い兄ちゃんに身体でリズムを継承しているように思う。



都城から来たじゃんかん馬踊り保存会。手綱を握るのは小学生くらいの男の子。




馬としっかりとした信頼関係があるのかな、巧みな手綱さばきだった。




中には馬との関係がうまくいってない踊り隊も見受けられて、神経質な馬をこんな人混みの中で操るのは苦心のワザだと思う。いつまでも継承していって欲しい祭りの1つだ。

大隅半島に春をつげる馬踊り。山桜が咲き、モクレンがほころび、レンゲ草もチラホラ・・・、鹿児島は一足先に春を迎えていた。