人情湯の鶴温泉。

熊本県水俣市街から山にはいった所にある、湯の鶴温泉。その昔、平家の落人が見つけたという。川沿いに古い民家、旅館が建ち並ぶ小さな鄙びた温泉郷



ツタの絡まる橋。




真ん中がアーチ状になっている橋。




菱形模様がある橋。




台形の支えがある橋。




そして共同湯へ続く橋。




お湯は硫黄臭のするぬるりとした炭酸泉。極上のおしゃべり仙人が降臨するお湯。




一緒になった地元のおばあちゃん、福岡から来たというと、にこにこして、
『まあ、遠くからよく来られたね。むかしはね、混浴で掘っ立て小屋だったのよ。大水のでるたんび流されてね。』
『ざるに渋柿を入れて浸けておくと甘くなるのよ。子供の頃は渋柿のざると一緒にはいったものよ。』
『むかしはまあ、湯治のお客さんが多くて毎日ぞろぞろとねぇ来てたけど、今はさびれてつぶれた旅館があったでしょう。』
『最近バイキングをする旅館ができてお客さんが少し戻ってきたかしら。』
確かに廃屋みたいなつぶれた旅館が何軒か・・・。「こんなに良いお湯なのに、知る人が少ないなんてもったいないですよね。」というと、
『そうよ〜、このすぐ上が小学校なんだけど、わざわざお湯を汲みに来てね、そのお湯で廊下を拭くと、廊下がぴかぴかになるのよ。』

これを聞いて慌てて顔にお湯をすりつける。ぴかぴかつるつるになれ〜〜〜!


実はお風呂を出てかなり歩いて、おみやげを買うときに財布をお風呂に忘れたことに気づき、慌てて走って取りに戻った。すると、このおばあちゃん、ちゃんと残っててくれて、
『まってたのよ〜。もしかしたらとりにこられるかもしれんと思って〜。』
『待ってて来なかったら、このあと薔薇園に行くってきいてたから、おまわりさんにそう言って連絡して貰おうと思ってたの〜〜。』


おばあちゃん、ほんとにほんとにありがとう〜。行き帰り何人かの地元のおばちゃんに出逢ったが、みんなにこにこ挨拶。お土産屋にいた近所のおばあちゃんも、ゼエゼエ言いながら、「財布ありました。ご心配かけました。」というと、
『あああよかったねえ〜、もう忘れもんはないかい?』
と、荷物の点検をしてくれ、わざわざ店の外に出て、見送ってくれる。なんだかとてもすがすがしい気持ちになった。


おまけ。湯の鶴ぶちワンコ。


しっぽを180度ちぎれるように振って、ぴょん以外の犬を触れない、プチわんこ恐怖症の相方の心を蕩けさせた。
ここはいい。とろりとした人情が残るいい温泉だ。また来るね。


せっかく温泉にはいったのに、汗だらだら・・・・次は薔薇園だ〜。