あはがり
空梅雨とはいえ、すっきり晴れた青空を久方見ていない。厚い雲がどんよりと空を覆い、むぅっとした空気が重くのしかかってきて、時々頭がくらくらする。
こういうとき聴きたい音楽がある。
ＮＨＫBS新日本風土記のテーマソング あはがり
https://www.youtube.com/watch?v=RPW3VAtTl6s
唄っているのは、奄美島唄の唄者、朝崎郁恵。この曲を聴くと、真っ青な空と、まぶしい真夏の陽光に照り輝く紺碧の海がざあっと目の前に広がっていくような気がするのだ。
奄美島唄は、いくつもの歌詞のフレーズといくつものメロディが口伝で伝えられたもので、唄者は、唄う場（祝いや弔いなど）にふさわしい歌詞やメロディを選び、組み合わせて、唄い分けているのだとか。
この曲も、番組にあわせて、詩を選び、メロディをつけて唄ったものを編曲したものだという。
奄美の島唄の歌詞は、かつて海を渡ってきた人々が伝えた大昔の原初の日本語の言葉が、そのままの形で詩の中に残っているという。古い日本の姿や想いがそのまんま保存されているということから、番組の起用につながったようだ。
あはがり（奄美の言葉ですべてが明るい）
この世は神様からいただいた仮の世 いつまでとどまっていられましょうか
命を敬い 生きていきなさい この世の生をなし終えるまで
時はめぐる 水車のように だからまためぐり逢える
月のあかりの下で ひとびとは喜び魂が踊り明かす
どのようなことがあろうとも 天と大地の間
月のあかりの下で ひとびとは喜び魂が踊り明かす
もう一曲、おぼくりええうみ
https://www.youtube.com/watch?v=YpQUowcMqRk
どっか懐かしく、そしてどこか哀愁をおびたメロディ。表情の違う海がまた目の前に広がってゆく。奄美や沖縄には行ったことがないが、私はこの海を知っているような気がする。
上質のジャズボーカルを聴いているような気分になるお奨めの１枚。
