地名考


『牟礼』のついた地名は鹿児島から熊本、佐賀、福岡、大分の主に山間部にときたま見られる、石牟礼、花牟礼、高牟礼、その他もろもろ、牟礼だけもある。
この『牟礼』の意味を追った人がいて、遠くモンゴルまで遡ることが出来るそうだ。『集落』を意味する。ここから来た人の、あるいは祖先をここに持つ人のと考えていいと思う。


同じような集落を意味する古い言葉に『隈』がある。福岡、佐賀にそれこそ『隈』地名はたくさんあるのだが、弥生時代の遺跡とセットという認識が私にはある。必ず何かでる。『隈』の大本は熊本県加藤清正が変えるまでは隈元といったらしい。熊野も熊も、もとは隈。この隈は、やはり遡ると雲南にたどりつく。同じく集落の意味だが、『牟礼』とは違う民族の、ということになるらしい。


そして『〜ら』・・・福良、高良、岸良、串良、姶良、吾平、相良、そして奈良etc。これも全国にたくさん散らばっていると思うが、奈良市の奈良の原型は、九州各地に散らばっていることにちょっと驚く。これもまた違う民族の集落を意味する言葉。さてこの人達の祖先はどこなのか、どこから彼らはやって来たのか、壮大な何代にもわたる物語が秘められているように思う。


この間、『五郎丸』のことを書いたが、西鉄甘木線の駅名として、この字名は残っている。1時間に2〜3本の朝夕除いて、無人駅の小さな田舎の駅が、今密かにブームとなっているらしい。観光客(こんな何もない田舎に!?)がやってきて例のポーズで写真を撮っていくそうだ。恐るべし五郎丸ブーム。CS第一戦の始球式に呼ばれているそうだ。福岡出身のまさに時の人。


地図を眺める愉しみに、地名の意味と歴史を知る愉しみもある。