焼酎蔵巡り編

結局雨にたたられ山は断念。相方の思惑通り酒蔵巡りとなった。酒蔵巡りと言っても向こうの都合があるので、外から眺めるだけだと思っていたら、酒蔵によっては、蔵を見学できるようにしているところもあるらしい。


一日目に行った、妙見温泉からすぐの「明るい農村」酒造。ここでは販売所があり、申し出ると蔵の見学もさせてもらえる(ガラス越しだけど)。蔵の大きな引き戸を開けるとほわっと麹の香りが鼻をくすぐる。いい香り。



若いおにいちゃんが懇切丁寧に焼酎ができるまでを説明してくれ、明るい農村飲んだことなかったけど一気に好感度がアップ。甕仕込みとか木樽とかハナタレとか、白麹、黒麹、黄麹など言葉で知っていてもよくわからなかった焼酎用語がすっきりクリアー。
蔵では若い見習杜氏がきびきび、説明のお兄ちゃんも販売所のお姉ちゃんもにこにこ、よく動いて気持ちがいい。



販売所ではここでしか売ってない銘柄もあり、お父さん達の顔はゆるみっぱなし。ここに来る人はみーんな焼酎が大好きなんだよね。


甕ー!どうしても甕に目がいってしまうのよね。これに焼酎いれてたのかしら・・・。




二日目、佐藤酒造を表からちらっと見て、いよいよ『アサヒ』日当山酒造に向かう。日曜で会社は休みだが蔵は開いていて杜氏さんの姿がみえる。やっぱり麹のほわっとした香りが。隼人町で一番飲まれているというアサヒ。随分前、高千穂の酒屋さんで地元の人が飲んでいる焼酎は?聞くと裏から持ってきてくれた焼酎。安くて(一升瓶で2千円しない)芋くさくてそこそこ旨くて、相方が愛してやまない焼酎。

杜氏さんの姿が見えたと思ったら、我慢できなかったのか相方は車を飛び降り、だーっと走り寄って見学をお願い。すると、快く受けてくれた。「好きの力」はすごい。
 


麹を蒸しているところ。独特の甘いほわっとした香り。小さい頃市場に行ったら、こういう匂いがしてるところあったような。麹って昔は各家にあったらしいが、いまはもう消えてないし、私も麹ってなんなのかここにくるまでよくわからなかった。




特別に見せて貰った、蒸した麹に麹菌をふりかけるところ。今時こういう部屋で手作業で麹菌をふりかけるところは珍しいという。



一次発酵の甕。これは麹菌を仕込んで5日目の甕。



なんとふたをあけて見せて頂き、味見まで。ほんのりとした甘さが口に広がりそしてかすかに酸っぱさがある。美味しい。




このあと蒸した芋を入れて、二次発酵させ、蒸溜へと進む。たぶん青いのが二次発酵のタンクだったと思う。まだこのとき一次発酵までの段階だった。

 




特注の蒸留器もみせていただき、減圧蒸溜もできるように改良したと胸をはって杜氏さんが言う。毎年、少しずついろんな工夫を重ねているらしい。
焼酎蔵の隅々までみせていただき、企業秘密もあるだろうにとても詳しく丁寧に説明してくださった杜氏の山下さん、ほんとうにありがとうございました。相方、大感激!!!握手を求め写真まで撮らせて頂いて、舞い上がる、舞い上がる。大好きな焼酎がさらに大好きになったよう。



次は国分市の東のはずれにあるなかむら酒造をめざす。煉瓦作りの昔ながらの蔵を残していた。



ここも麹の良い香りがあたりに漂っている。工場の前に山と積まれ、出番を待っている黄金千貫。これから美味しい焼酎に変わるんだね。


そして蔵の前の駐車場には、昔活躍したであろう甕が無造作に置かれていた。昔はこの甕でできうる量を作っていたんだよね。





どうしても行きたいと相方が駄々をこねて、垂水まで足を伸ばし見つけた森以蔵酒造。おそらくは焼酎が家内工業から近代的な常時生産ができるよう変わっていくきっかけになったあまりにも有名な蔵。




需要が供給をはるかに越えてしまい、なにかと話題と噂と問題を提起した蔵でもある。作り方も多種多様あるが、焼酎の味において水の質はもっとも重要なファクターかと思われる。垂水の水はクラスター水という特別な水がでるらしい。
20年前に人から頂いて初めて飲んだ焼酎でもあるし、焼酎ってこんな美味しいんだと思った焼酎でもあるが、宮崎の酒屋のご主人から聞いた言葉が忘れられない。
「若い、今から蔵を起こそうとする杜氏は、昔の以蔵の味を目指すんですよ」。


蔵の前はすぐ錦江湾桜島がただ煙をはいていた。




このあと、なかむら酒造さんから頂いた、取り扱い酒屋マップを手に国分市に戻り、3件目でやっとあいている酒屋さんを見つけ、おのおのお目当ての焼酎を抱き、帰路についたのであった。