魅惑の常滑ロヂウラ

知多半島ロヂウラ探訪最終回。
イナックスを出て、いよいよ常滑の街へ。わおぉ〜!期待感でどきどきする。

いきなり土管の崖発見!!



雑草が隙間から生えてきて、もう風景になじんでいい感じ。



こういうの見ると、常滑にきたんだなああと口元がゆるむ。

坂を登って常滑市民俗資料館へ向かう。駐車場の廻りにも甕がいっぱい置かれていて、テンションあがりっぱなし。


はたから見れば変なおばさんに見えただろうな。ひゃーひゃー声にならない雄叫びをあげながら甕に駆け寄り写真撮りまくりなんだから。
どうして甕なんだろう?と思う。きっかけはやはり福岡に来て数々の埋蔵物資料館や遺跡を見て回りだしてから、特別な思いで甕を見るようになったみたいだ。
遺跡から発掘された甕は、生活の匂いが染みこんでいて、というより生きるそのもので、甕に入っているもろもろは、古代の人の命そのものだった。さまざまな形、工夫、意匠を施し、採取した木の実や米、酒、水・・・それから時代が下って味噌・醤油・酢などの調味料・・・生きていく命綱のようなものをこれに入れて生活を紡いでいたのだと思う。
大型の甕をつくり、埋葬に使う甕棺墓は、北部九州にしか見ることのできない墓制だが、最初に甕棺を見たときはぎょっとしたものの、それでも死者を大切に葬送したいという想いがひしひし伝わってきた。
甕を作る技術は、人の移動とともに広がっていき、ほんの数十年前までは、日本人の生活になくてはならない生活必需品だったはずだ。が、いまはもう家庭で甕を使うことはほとんどなくなってしまった。そのうち甕を作る人がいなくなるのかもしれない。だからこその愛しさなのかなあ。そんなこんなでいつしか甕は私にとって特別なものになっていったような気がする。

資料館では食べ物の他に、薬品や燃料なども入れられる甕も展示されていた。



ここから坂を下って、旧商店街へ向かう。古いおうち。



知多半島のこういう家をたくさん見てきて、ただ古いというのではなく、こういう家がこの土地に合理的にあっているのではないかと思いだしてきた。ちゃんとそこに人が暮らしていて、大事に使われている印象を受ける。



もうすぐ商店街というところで、カメラのメモリーカードがいっぱいですというメッセージ。えええっ!オーマイガッ〜!これからだというのに。
しかも、そんなときはコンビニ行って買えばいいということを私は知らなかった・・・・(あとでさんざん馬鹿にされた)。
とにかく路地をたくさん見て回りたい・・・こっちが最優先。そのうち駅に行って大野までいくので、電気屋さんに邂逅するだろう。そこで買えばいいし、携帯のカメラもあるしと思い直して、歩きだす。暑くて暑くて頭が半分ぼぅっとしている。



にゃんこの七福神の陶彫を1つ1つ見ながら、どうしても見たかった橋の風景を探す。発見!!!どうしてだろう、この水路の風景が懐かしくて懐かしくてたまらないのだ。




反対側。



長崎の、やはりこういう港に注ぎ込む川の上流の坂道で育った。幼いときの記憶なのか、それとももっと古い記憶なのかわからない。




さてさて携帯の電池も切れかかり、これから先は写真を撮れず(涙)。で、翌朝、早起きしてホテルから坂をかけあがり、土管坂付近だけを大急ぎで撮りに。


もう使われてない窯の煙突。



甕が、あちこちにほんとに無造作にうち捨てられている。




巨大とこにゃん。ミニミニとこにゃんを自分用に買っちゃった。何とも言えない愛嬌があるのよ。



むっ〜こうに見えているのも陶彫。



元気なおばあちゃんと遭遇。御年90才。



土管をつくる窯で働いていたそうだ。重い土管を窯から運ぶ仕事をしていたそうで、腰はしゃんしゃん、手足が強いといまだにほめられるという。おばあちゃんが働いていた窯は、今は名古屋芸術大学の工房となっていた。


軽自動車がやっとこ通るようなこんな路地が続き、







不思議な国に迷い込んだアリスみたいな気がしてくる。ずいぶんととうがたっているが。

そしてお目当ての土管坂。







もうなんもいえねぇ。なんかここまできたら笑いがでてきた。甕の底力〜〜〜。


常滑は不思議なパワーに満ちていた。うまく説明できないけれど。
ここから電車に乗って大野というところも見て回ったが、昔の大野街道にたったとき息を呑んだ。豪商達の夢の跡。時間と時間のはざまに落ち込んだような感覚。
ここはまた来る。ぜーったい来る!!と固く決意した。



名古屋は、ビルがびっしりと建ち並び、湾岸は工場がいっぱいの工業都市、味気ない大都会だと思っていた。Sevenfiftyさんのブログで、知多・三河の生活のしみ込んだ風景を知った。Sevenさんには感謝したい。あの写真を見なかったら、この旅はなかった。

Sevenさんのブログはこちら。650RS-W3 ツーリングに行きたい
知多に興味を持った方どうぞ〜。可愛いニャンズもいます。