こけけツアー〜焼酎編〜

薩摩と言えば芋焼酎の聖地だ。道路を走っているとこんなんがど〜ん!




至る所に焼酎蔵があって、焼酎好きの血が騒ぐ。ここにどうしても行きたかった。笠沙町の黒瀬杜氏の里。



黒瀬地区はリアス式海岸の山あいにぽつぽつと、まるで山に抱かれるように家々が点在するちいさな集落だ。



ちょうど台風が来ていて、南からの風の通り道になり風が強く吹き付けるのがよくわかった。耕地は少なく半農半漁、厳しい土地柄だと思う。村人は無常講(むじょっこ)という相互扶助のシステムで互いに助け合い住民同士の絆が強いという。ここの若者が奄美の焼酎造りの技を伝え、黒瀬杜氏として全国の酒蔵に出稼ぎに出るようになる。
この杜氏の里は、半分は焼酎造りの資料館。あと半分は、甕仕込み、木樽蒸溜の施設で、焼酎の伝承者を育成していく目的でたてられたようだ。酒造りの極意を身体で覚え、そして次代へと伝承していくために。

この古い写真に写っている杜氏の男達の誇らしげな姿。




昔ながらの道具なども展示しているので、焼酎ができあがっていく行程が素人の私にも非常にわかりやすかった。




どうしても目が行く甕。このすべすべの肌触り、小さな注ぎ口、たまりません。




ちょうど薩摩芋を入れて発酵している2次仕込みの甕を見ることができた。



ときどきぶくぶくと泡が立ち、表面がぼこぼこ動く。麹って生きているんだーと実感。生きている麹の発酵の過程に全神経を注ぐのだという。熟練の技だ。


こちらは木樽の蒸留装置。真ん中の樽に2次発酵したもろみをいれ、下から熱を加えて、蒸溜、気化したアルコール分が左にしたたり落ちるようになっている。右が冷却装置と言っていたかな。この木樽を作る職人ももう希だという。




こういう甕仕込み、木樽で作る焼酎は、差配する杜氏の個性がそのまま出るという。器械やコンピューターで温度管理されてできる焼酎は、品質が平均化されてうまい焼酎ができるのかもしれないが、なんだろう、やっぱり杜氏の持ち味がでる焼酎の方がより味わい深いような気がするのだが、、、、気のせいか。
大量にできないので、ここでできた焼酎には数に限りがある。一番人気一どんは、はがきで申し込んで抽選で当たった人が引換券と交換で手に入れることができるという。台風来てるというのに、ひっきりなしに引換券を握りしめて来訪する人が途切れなかった。ああ、さぞかし美味しいんだろうなあ。他のは試飲できたのだが、一どんだけは試飲できなかった。


枕崎のさつま白波で有名な薩摩醸造明治伝承館。こちらも工場内が見学できる。



さつま白波といえば、本格焼酎を全国に知らしめ、その後に続く焼酎ブームを支える大きなきっかけとなった蔵だ。相方の焼酎の入門酒であり、若いときはこればかり飲んでたそうである。CMの玉山鉄二くんもかっこいいのよねぇ。。。。。

明治伝承館ではちょうど仕込みが始まっていた。芋を選別し切る作業。おばちゃん達が手際よく芋を切っていく。




石畳みの昔ながらの工場内。甕がいっぱい並んでいてもうそれだけでどきどき。



ここからは撮影禁止だったのだが、2次仕込みの甕をガラス越しではなく直に目の前で見ることができた。ぶくぶく時々ぶわっと盛り上がる。麹の種類によって発酵の過程でクエン酸がでるので、雑菌をみずから殺菌することができるからこうやってじかに見ることができるのだという。クエン酸をださない麹もあってそちらは立ち入り禁止の部屋で発酵させるのだとか。麹の扱いってやっぱり難しいんだ。

そしてお楽しみのここだけの限定焼酎の売り場。もちろん、いろいろと試飲し放題&つまみも食べ放題。



運転手の相方を尻目に、というか匂いだけ嗅がせて、あれも〜これも〜と生でくいくい飲む。あはは〜、あはは〜、いつも運転手役なのでここぞとばかりくいっくいっ!いやあいろんな味があって、それぞれ違ってて美味しい。お芋の種類毎の焼酎も飲み比べができる。案内してくれた蔵のおじさんも「さあ、どんどん飲んで〜つまみも食べて〜、どうぞ〜!これも飲んでみてくださ〜い。」と太っ腹なんだもん。


とってのついた甕。こういう甕もいい。



ここに来て、どうしてこんなに甕に惹かれるのかよくわかった。私の血の中にお酒大好きDNAがはいっているからだ。それが甕を見ると騒ぎ出す。
私の名誉のためにいうが、私はそんなに酒飲みではないし、強くもない(ほんとよ)。若い頃は芋焼酎なんて一滴も飲めなかった。
が、今では・・・・・・。
「車がなんかにおう。おまえ、焼酎のにおいを発散しとる!くっそ〜!!く、くやしい〜!」、相方の文句たらたらをへらへら右から左へ流す。ちょっと酔っ払ったぜ。
ここは、正真正銘天国だった!!さつま白波ばんざーい!!!