光の道

八代へ行くなら絶対寄りたいと強権発動して、無理無理寄った永尾剣(えいのをつるぎ)神社。宇土半島のつけね、不知火湾をのぞむ、海に突き出た細い岬の上に鎮座する。

ある人のブログで知って、絶対行かねばと思い続けてきたのだが、神社巡りをしていると、時々、秘密の恋人にあうようなどきどき感、ときめきを感じる神社がある。ちょうど神社裏の参道からはいったのだが、いままで小雪がちらつく鈍色の空だったのに、社から陽が差してきた。あっ、なんかどきまぎしてきた。



祭神は海童(わだつみ)の神、かっこして神武天皇の母とある。これからして不思議なのだが、この小さな村社とも言える質素な神社には様々な謎がつまっている。



それは難しいからおいとくとして、ここから旧暦の八朔の夜に不知火が見えるという。




不知火は有明海八代海など干潟の温度差から起きる光の異常屈折現象と言われているが、どうしてそういう現象が起きるのか、わかっているようでよくわかっていない。私も見たことがない。今でも見えるのだろうか・・・。

お社から海へ降りる階段、こちらが正面階段になるが、その先、干潟の海に鳥居が建っている。



がたごとした石段を2,3段下りていこうとしたそのとき、




今まで灰色の厚い雲に覆われたその隙間から太陽の光が!まるで光の道。






干潟の海を照らしながら移動して、あっというまに消えていった・・・。




冬至の夕日がこの鳥居の中に沈むのが見えると言う。そう計算されて設計されたんだろうか。




ここにはどういう人達が集い、どういう意図を持ってこのお社を建てたのか、今ではもう忘れ去られつつある。けれど、いつまでもこの神社は残して欲しい。そして歴史の彼方に消え去った謂われを取り戻して欲しい、とも思う。来て良かった・・・。


ここに寄ったせいで、次の温泉地は湯浦温泉どまり。水俣の湯の児温泉まで足を伸ばそうと目論んでいた相方には悪かったが、千載一遇の風景に出逢えることができた。湯の児はまた来ようね、湯の鶴とあわせてめぐろう。