石橋の里

宇佐のマチュピチュと呼ばれる宇佐市西椎屋地区からの眺め。



高速で玖珠まできて、ルート387号線を東に向かうと、トンネルを抜けた先突然この風景に出逢う。宇佐神宮に行くとき、よく使うルートだ。
山に囲まれ、深い谷と急な流れのいくつもの川が流れ込むここ院内には、大小75基の石橋がかかり、市町村単位では日本一の数を誇るという。



通りすがるばかりでちっとも知らなかった。75基、全部は回る時間がないので、念仏橋、両合川橋、打上橋、この3つを目当てにあとは行き当たりばったり適当にということで一人やってきた。


最初に渡る野路橋、車1台やっとこ通れる幅の小さな橋。石橋を車で渡るなんて初めての経験?ちょっとどきどきしながら通る。



渡った先にはやはり車が一台通れる幅の山道が続いていて、この先にあるという念仏橋を目指す。

山道を抜け小さな集落の先に、もしかしてあれかな?そばで作業されていたおじさんに尋ねるとそうだという。



今日は青空も見えて、それっとばかり作業にいそしむ農家の方達。あちこちで代掻きして、水をいれてと、田植えの準備に大忙し。
格好の休憩所。たもとに植えられている木が気持ちの良い木陰を作っている。農作業に疲れたら、橋に腰掛けて休憩したり弁当食べたり。きっと涼しい風が吹き抜けるんだろうな。



周りに溶け込んでいるなにげない橋の風景だが、愛されている橋の風景でもあるような。。。。



あちこちに橋の案内板がたつが、分岐をのぼったり下ったり、集落に迷い込みながら橋を探す。
無事にわたれるからぶじ橋?ではなく分治橋。看板がたってないと気づかずになにげに渡ってしまうなあ。


横から見ると3連アーチの美しい橋だ。



橋の上から豊後富士(由布岳のこと)がみえるという富士見橋。



車は通行止め、新しいコンクリートの橋が併設されている。豊後富士は厚い雲に覆われて見ることができなかったが、この橋は下まで下りることが出来て、橋の下から見上げることが出来る。この石の1つ1つが落ちてこないことが不思議でたまらない。


それにしてもこの川の岩が異様だ。火山岩なんだろうか?帰って調べると、耶馬溪溶結凝灰岩とある。大規模な火砕流が固まってできた岩らしい。水が長い間岩を穿って出来た川。大雨の時は鉄砲水となって、濁流が流れ落ちるのだろう。木の橋はすぐ落ちてしまうから石橋が主流となった。


フォルムの美しさからお嬢様と言われる御沓橋。



渡ってみたら、欄干が膝の高さまでしかなく、のぞき込むと今にも落ちそうで怖い。高所恐怖症の人は度胸がいる橋。実際落ちた人もいるみたいで橋の手前に注意書きの看板。このお嬢様は棘を隠し持つ。


院内町で一番古いと言われる石橋、打上橋を探すが、どうにも行き当たらない。あきらめて、隣町安心院町に鏝絵を見にいき、最後の石橋、両合川橋を目指す。
お昼を過ぎた一番暑いとき、田んぼ道をあえぎながら登って出逢えた、両合川橋。


両側は棚田が迫り、両方の集落がであえるからこの名前がついたという。
橋の上は雑草が生い茂って、何年か前までは、稲が作られていた向こうの田んぼも休耕田。後継者がいなくなって草ボウボウだ。



ここで、じっちゃんずカメラ隊(3人)と出逢って、『橋の上で立ってみて〜〜〜』と写真モデルを務める。
もう何回も来ているらしく、『年々休耕田が増えてねぇ、俺らと一緒だ〜』
『上には牛がいるよ〜、牛だよ、懐かしいなあ・・・』



『一人でくるなんてよほど好きなんだね。』『下に滝があるからそこも見ていくといいよ〜』血気盛ん、ワイワイガヤガヤまるで少年悪ガキ団のようなじっちゃんず。しばらくしゃべって別れた。


田んぼに流れ込む水がきれい。



この山の上流にはオオサンショウウオが自生するという。山を越えた向こうに自衛隊の演習場があり、演習でもあっているのか時折ドーンという音がするが、それ以外はまったく音がしない静かな静かな谷。
まるで緑に擬態しているような橋は、この静かな場所でひっそりと時を刻んでいくんだろうな。