夾竹桃

私の真夏の花は、ひまわりではなく夾竹桃だ。


ウィキベディアによると、インド原産、葉が竹に花は桃の花に似て、実もなるが日本ではまれという。
毒がある。葉にも枝にも根っこにも。
枝を箸代わりにして中毒になった事故例もあり、近くには雑草も生えないというように毒性が強い。

子どもの頃、どうしてこんな毒々しい木を公園に植えるんだろうと訝ったものだ。けれど原爆が投下されて焼け野原になり、放射性物質で汚染された土地に、この木だけが負けずに成長したそう。広島の市の花だそうだ。

8月の焼けるような陽射しの中、わんわんとせみの声だけが響く原爆公園に、ぐるりと植えられた木に咲く鮮やかなピンクの花は、命への渇望を想起させる。たくましい平和の花いや花と言うより命そのものに思えて仕方がない。