鬼夜

大善寺玉垂宮。筑後一宮高良大社の本宮で、神功皇后三韓出兵に大功のあった籐大臣(高良大明神or玉垂命??)がここで没したとも、あるいは佐賀のインターチェンジ付近にあったクニの桜桃沈輪(ゆすらちんりん)を大松明をかざして探索して、首を取りうち滅ばした故事にちなんで建てられたという古い伝説がある神社だ。


日がとっぷり暮れた境内には、長さ13メートルにも及ぶ大松明が6本並んでいる。



日本三大火祭りの1つとして有名な玉垂宮の鬼夜、1600年以上も続く古い祭り、やっと来れた。
本殿の裏の神苑では、待ちきれない400名ほどの裸の男達が、燃えさかる火を囲んで吠える。


真っ暗な闇の中を松明をかざした男達が動き出す。


「おいさ!おいさ!」掛け声とともに


神社の前を流れる霰川で禊ぎをし、広い境内を2周巡る。


戦いの記憶を呼び戻させるような、なんだかぞくぞくする火の群れと男達の掛け声。


松明に火がつけられると、どよめきとともに境内の雰囲気がさっと変わる。



次々と6本の大松明に火がつけられ、真っ暗だった境内は眩しいように明るく、



見物人の目は、燃えさかる火と、火の粉をあびながら松明を支える男達から目が離せない。



けれどこの祭りの真の意味は、鬼の姿をした神の禊ぎだという。

神殿からこっそりでてきた鬼。





なんだか不思議な面。

「神様は、一年間神社におられると、人々の罪や穢れなど全部引き受けて、どろどろに汚れてしまわれる。そこで神聖な水で禊ぎをして神格を再生しなければならない。赤熊(しゃぐま)と呼ばれる子供達が、鬼を外に追い出して、子供達に守られながら禊ぎをし、玉垂宮の神殿に中で内々陣の扉の前で手をついて祭りが終わる。」


この子供達何なんだろうと思っていたら、そんな大切な役目があったのね。


燃えさかる火。


火は、すべてを奪う紅蓮の炎であり、汚れを祓う神火でもあり、そして人に暖を与え、食を支える命の火でもある・・・・。神様が引き受けるという人間の業ってなんだろう?。



とても不思議なモノを見た。本殿の上から神苑のほうへ向かってすぅっと落ちていく火の玉らしきもの。
最初は流れ星?いやあんな低いところを落ちるはずないし、花火にしては大きすぎる。真ん中に丸いピンク色の玉がちゃんと見えた。あれはなんだったんだろう?


火に包まれる境内。
不思議な不思議な、そして考えさせられる祭りだった。