的ばかい

熊本県長洲町の四王子神社の的ばかい。ご神体が鎮座する、稲藁を編んで作った円座を奪い合う神事。「ばかい」とは奪うの意味。

ふんどし姿の男達が的を奪い合いながら神社の周りを2〜3周し、有明海へとなだれ込む。


この日は比較的暖かかったが、水をかけられて男達の身体からは湯気が立ち上る。う〜ん、見事なお尻だ。
円座はむしり取って1年間神棚にあげ、無病息災を願う。


縁起事なのでもちろん年端のいかない子ども達(男の子)も高々とあげられ、容赦なく水をかけられる。親子で参加するのが決まりだそうだ。


出番を前に、ちょっとブルーな僕。がんばれ〜〜。


的ばかいの縁起が書かれてあったが、


福岡太宰府の四王子嶽から、住吉の神、中筒井男の命のご神体が長洲の町に一時遷座し、遷るまでの間、ご神体を安置していた円座を神の御加護が篤いと皆で奪い合ったのが起源という。1160年と言えば、平清盛の権勢が増してきた頃で、この年の9月に太宰府の参議を兼ねるとあるから何か関係があるんだろうか、よくわからない。
戦争や政変があるたびに、ご神体やご神宝を避難させるのはよくあったことだそうで、無事免れたとしても戦後の困窮でこれらを手放してしまったという話も聞いたことがある。宇佐の薦神社ではこの円座の編み方は失われたたという。(薦で編んでいたそうだ)
神社の中では、ちんまりとした白髪のおじいちゃんがもう一つの神事、破魔弓をしつらえていた。円座もまたこのおじいちゃんを含む3人で編まれたという。これら各神社それぞれに長く伝承されてきた技術が失われずに次の世代へと渡って欲しいものだ。