のぼるオリオン、海の径その3

懐かしさを感じたのは、人々の顔かたちだけでなく、次々と目にする地名にも。
山原(やんばる)、与那原(よなばる)、南風原はえばる)・・・・福岡にもたくさんある。まえばる、かすがばる、はるだ、福岡以外にもせちばる、たばるざか、ちょうじゃばる・・・九州には原をばるまたははると読む地名がたくさんある。漢字は同じ原でも、はらとばるでは起源が全く違うそうだ。沖縄の地名には難読地名も多かったが、やはり何かしら共通のルールみたいなものがあって、地名とその地形との関連を考えるのが楽しかった。


斎場御嶽には行けなかったが、今回沖縄でマイベストプレイスはここ。やちむんの里の一番奥の丘陵。

読谷村の、入り口は普通の住宅街のなかにあるのだが、ずんずん奥に入っていくと、赤い屋根と碧い空のコントラスが美しい登り窯。



広々とうねる丘陵地に、沖縄で言うやちむん(焼き物)の工房が集まっている。



ここがなんだか日本じゃないようで、東南アジアの村里(行ったことはないが)に迷い込んだような錯覚を起こしてしまう。



しばらくここでぼうっとしたのだが、時間の流れ方ががらりと変化する。ゆったりとゆったりと、いつまでも座って時間が過ぎるのを見届けたい気分になってしまうのだ。


何だろうと思ったら、珊瑚礁のかけら。


ここはよかった。



帰りの飛行機の窓から東の地平線からのぼるオリオンを見ることができた。いつも見るオリオンは縦長で、真ん中に横3つに星が並ぶが、上ったばかりのオリオンは横に長く、3つ星が縦に並ぶ。
オリオンの3つ星のことを古来、住吉様と呼んだとある。住吉3神は、底筒男命中筒男命表筒男命。筒は星の古語で、上中下に並ぶ3つの星ということになる。出始め、東の空に全体が横の台形状ででてきて、夜中には東南の空にほぼ縦長の形、夜明け前西の空に沈むときには、逆さまの横の台形状になることから、夜の海で3つ星の傾きの角度を覚えると時間がわかり、方角もわかり、航海の守り神となったという。
大阪の住吉大社は、オリオンの形を写し取ったような形式となっており、四角に囲んだ広い空間の中に、3つの神のお社プラス神功皇后のお社をたして、4つのお社が存在する。
海人達の航海の道しるべだったオリオン。いつかまた沖縄に来ることがあったなら、東の地平線をのぞむ浜の民宿に宿を取り、海からのぼるオリオンを漆黒の闇の中で見てみたいと思う。

父は船乗りだったが、やっぱり波高い東シナ海でオリオンを見たのだろうか?聞こうと思ったときには親はなし。だなあ・・・。