南国風情

温泉仙人、相方の3本の指にはいる素敵温泉、日置市市来の田の湯。


隣には、たぶん昔の建物。


朝早く行ったのだが、やはり日本朝風呂党の会本部だけあって、次から次へと人が訪れる。薄いエメラルドグリーンのちょっと硫黄臭のするお湯が惜しみなく流れ、ツヤツヤとした肌触りになる極上温泉。


ここから阿多(加世田市)の歴史資料館をみっちり見て回って、開聞岳麓の共同湯を目指す。


午前中良く晴れていたのにあっという間に笠雲に覆われた開聞岳

共同湯はもう廃業していて、あったところは更地になってしまっていた。なのでもうひとつの共同湯を目指す。日本一安いという看板が出てるその共同湯は、限界集落のど真ん中にあり、たぶん町が運営していて、町民は80円、よそ者は100円で入れる。
おそらくは80過ぎのばーちゃん達が、手押し車を押して三々五々現れ、濃密な時間をここで過ごしていく。

湯船の写真がないのがすごく残念だが、古ぼけた木でできた脱衣所、熱い湯と少し熱い湯に別れた2槽式の湯船、ただそれだけのシンプルな共同浴場なのだが、(いぶすき観光サイト http://youkoso-ibusuki.com/top/modules/pico/index.php?content_id=36


湯船に浸かって目を閉じると、おばあちゃん達の薩摩弁は、まるでタイとかインドネシアとか南国の言葉の節のような優しいリズム、外のガジュマルの木の葉が擦れ合う音とあいまって、ゆったりとした極上の音楽のなかにいるような錯覚がおきてしまう。
なまじ薩摩弁がわからないので、何を話したという言葉の意味にとらわれず、音で互いの感情をやりとりしているということがよくわかる。ときどき「じゃっどん」という接続詞がはいると、音の節が変わり、それに合わせて相手方の節も変わっていくので、コミュニケーションって音のやりとりという一面もあるんだなあとしみじみ思った。
互いに背中をすりっこして、衣服を脱ぐときも着るときも、湯船の中でも、はては外のガジュマルの木の下のベンチに腰掛けて、長いこと話して聴いて、時間を過ごすおばあちゃん達。
ここもあと何年存続できるかわからない・・・けれどこういう時間を過ごすことの出来るおばあちゃん達はとても幸せなんじゃないだろうか。


ここから一番近い駅、JR日本最南端の駅、西大山駅


いやあ行ってびっくりした。周りは観光客用のお土産屋さんをのぞけば全部畑。人が住んでるところからかなりの距離。こんな役に立たない駅ってあるんかい?到達が困難ということで(連絡がほとんどないらしい)、秘境駅の1つにもあげられているそうだが、立地の理由がよくわからない。


幸せの黄色いポストが設置されているので、開聞岳のビューポイントとしての観光用スポットなのかもしれない。あのおばあちゃん達の役にはたつんだろうか・・・・。


さて、やっとこ8月の振り返り終わり。9月も第2週にはいってやっと天候が安定してきた。久しぶりに月を見にいこうかな。