おしゃべり仙人

前回、鹿児島こけけツアーで、私だけ焼酎をたらふく試飲したのをねちねちと根に持つ相方。どうしてもまた行く、地元でしか飲めない焼酎を飲みたいとソッコウで企画した。食い物の恨みは深かった・・・。「宿泊代押さえてよね」、行きたい一心で探しだした、日本一安い旅館をとり、前回とはまったく逆のコースで鹿児島焼酎&共同湯巡り。



登山規制が解かれたえびの高原を通り、霧島新湯荘へ。韓国岳周辺は登山者でいっぱいだ。



国民宿舎に併設されている温泉、新湯荘。八十八湯だ。



新燃岳の爆発に伴い休業を余儀なくされた。やっと今年の7月から半径1キロメートル以外、規制が解かれ営業を再開された。おじさん達がはいっている混浴露天風呂。



いきなり立ち上がったりしないでねと念じつつ、平屋の中の内風呂へ。露天風呂と同じ硫黄の匂いぷんぷんの乳白色のこゆ〜い温泉。
極上の温泉には、おしゃべり仙人が降臨する。あまりの気持ちよさに70代、60代のかごんまのおばちゃん達と大盛り上がり。
「どっからきたの〜?」「これからどこ行くの〜?」「山川行くなら腹皮が旬でおいしいよ〜」「私はしいたけ買いに来たのよ〜」「これから大隅町へ弥五郎どん祭りに行くの〜」と、わいわい情報交換。初対面なのに、目をきらきらさせながらまるで子どもに戻ったように話が弾む。


新燃岳




灰に覆われ廻りの木々は白く枯れている。だいぶ収まってきたのかなあ、火山活動。
ここから紅葉ロードを下り






同じく規制が解かれた高千穂河原神社に参拝、




隼人町津曲へ。津曲共同浴場。小さな集落の畑のど真ん中にある。



地区でお金を出し合ってボーリングし、最初はぬるい湯、もう一回ボーリングし治してよい湯がでてきた、昔は60人位で管理していたが、今は6,7人で管理していること、今日は朝から唐芋ほりで大変だったからこのお湯に入りに来た等々、地元の先客の女性が、弾丸鹿児島弁で話される。たぶん半分くらいしか理解できず。ただ、いいお湯だからゆっくりはいっていきなさいねということはしっかり伝わった。




少々熱かったが、瞬殺で脳みそがとける極上のお湯。こまめにでたりはいったり、湯船につからずとも充分気持ちいい。
ただ成分が濃厚だし、2湯めだったのでのぼせ上がる前にでてきた。出たところで歯の抜けた80くらいのじいちゃんに話しかけられる。
たぶん、出てくるのがあんまり早かったので、遠くから来て150円も払ったのに、もっとゆっくりしていけえみたいなことを言ってくれてたのだと思う。が、何を言っているのかよく聞き取れない。曖昧にうなづいていたら、途中から40代の男性が通訳にはいってくれ、熱いお湯が出る樋と、ぬるいお湯が出る樋があって、これでお湯を調節してはいることを教えてくれた。その調整の仕方を一生懸命教えてくれるのだ。そういえば、先客のおばちゃんもそういうことを言っていたような・・・・。
自慢のお湯なんだろうな、今度来たときはちゃあんと調整してゆっくりはいらんねと繰り返し繰り返し言ってくれる。
極上のお湯は、人をお世話焼きに変えるのか、それともここの人がもともと素朴な人達なんだろうか、いやきっと極上のお湯は、世俗の垢を落としてくれて、みんな仙人に近くなるに違いない。



開聞岳に夕日が沈んでくのをぼんやりと眺めてから、山川湊の旅館にはいる。



釣り人むけの旅館みたいだ。目の前の岸壁では一晩中夜釣りされてる人がいっぱい。



素泊まり2100円、朝食つけると2500円、信じられない安さだ。コイン式テレビにコイン式エアコン。6畳一間で何もない、布団だけ。けどこれで充分。朝食も美味しかった!ごはん、味噌汁おかわり自由だし。


夜は目の前の駅から電車に乗って指宿の街へ。
鹿児島の郷土料理、きびなごの塩焼き。



焼酎によくあうのよ、これが。きびなごには少々トラウマがあるのだが、塩焼きだといくらでも焼酎がいける。

実家の母は給料日前になると、鍋いっぱいきびなごの煮付けをだした。おかずはそれだけ。骨にいいからと丸ごと食べれと言われた。のどに小さな骨がひっかかる。するとごはんをかきこんで飲み込めという。泣きながら食べた。きびなごトラウマ。今でもきびなごの煮付けを見ると、涙がでてにげだしたくなる。


相方はしゃーわせ〜を連発し、ほろ酔い気分。さあ今年最後までまた仕事がんばろうね〜。