きりしま時間〜秘境編〜

霧島に来たらもう一つ必ず寄るところがある。
大出水・・・その名の通り霧島山地の伏流水がごうごうとわき出ている湧水池。



甘みがあってとろりとしている美水。この水でご飯炊くと美味しさが倍増するので、タンクをいくつも積んで訪れる。山の中、途中から舗装されてない林道を下らないと行けないが訪れる人が多いのだろう。車止めるところがきれいに舗装されて、手動ポンプまでできていた。
桃源郷のような処だ。



ここを知ったのは、前玉神社探索がきっかけだが、すぐ近くにタノカンサアを発見できたのも大きな収穫だった。一体のタノカンサアは鹿児島ではいたるところで見ることができるが2体のタノカンサアは珍しい。田ノ神とおそらく山ノ神。平野部ではこの2体の神様が合体して擬神体として1体のタノカンサア。田おこしが始まると里に下りて田の神となり、冬は山に帰って山の神となる。


横には手堀りで掘られている狭いトンネルが残されている。



東大寺の大仏は創建当初金箔で覆われていたと言うが、その金の産地は1位が阿武隈川山系の金、そして2位が鹿児島の金だったという。このあたりは古代の金の産地だったと思っている。


それを確かめるべくここからさらに峰を越え天降川本流近くに岩壁に観音様が掘られているというので、行ってみることに。道は地図上3本あるが、どれも先細りの林道のようなので、集落から入る一番安全なルートを通って行くことにしたが、やっぱりガタガタでこぼこ道のすごい道!帰れるのか?!前から車来たらアウトだよ!とわあわあ騒ぎながら辿った道にやっと鳥居。


ここから徒歩で急坂を下る。
下ること20分ほど、第2の鳥居が見えてきた。


そして磨崖仏。



息を呑んだ。一体誰がどんな思いで、こんなところに掘ったのか?



ほとけごごろは薄い私だが、この場所にいると言葉を失う。


ここからさらに下る。断崖絶壁の大きな崖の下をとおり


大岩が無造作にごろごろ



一番下の天降川の本流が流れるところまで下りきる。



そして見えてきた最後の鳥居。子の宮とありここでお参りすると子宝に恵まれると由緒書きがある。


大きな岩の下に岩穴。


元はおそらく子の宮ではなく胡の宮、古代の岩陰祭祀あとだと思う。


帰ったあと地図で確認すると、天降川が大きくS字状に蛇行している地形で、こういうところは水が岩が削り堆積物がたまりやすいところ。さらに対岸には幕末西郷隆盛が農業用水を確保するために岩を掘らせたあともあるという。農業用水ねぇ・・・・・にしては地形が急峻。金採掘が目的だったと睨んでいるがどうだろう。


いやはや凄いものを見てしまった。誰にも行き会わない道をめいちゃんはすたすたご機嫌で歩く。

そのうしろをゼェゼェハアハア、運動不足の小太りおばしゃんは、ちくしょう体鍛え直すんだ!と決心して秋の山道を登ったのであった。